先日、首都圏ソフトウェア協同組合の横尾良明と一緒に民主党の鈴木寛参議院議員を議員会館に訪ねた。選挙は水もので、どのように流れが変わるか分からないが、8月末の総選挙で政権交代の可能性もあるので、今後の、IT業界のかじ取りに少し知恵を借りようと思ったのである。
鈴木議員は通産省の電子政策課長補佐のころに日本のIT化のビジョンを描くなど、日本のIT化や情報産業のあるべき方向性について豊かなアイデアを持っている。たまたま民主党から立候補したが、そのせいで、若くしてすでに党の幹部として十分に活動の場所を得ている。最近、際立ったのが、東京都議選の開票時に、東京都連幹事長として、自民党の石原伸晃副幹事長と並んで、テレビ画面を占拠したことである。これで鈴木議員は一躍、第一線の政治家として全国的に認識されるにいたった。
鈴木議員との会話で心強く思ったのは、官僚出身の若手政治家は大半が民主党から立候補している、という指摘である。「世襲の自民に、若手官僚出身の民主」というのは、そう的外れの話ではない。IT分野を担当した経験のある民主党の議員や今回の選挙で当選の可能性の大きな候補でみても、5人は顔馴染みがいる。政策通がたくさんそろっている点では、政権交代でそんなに不安はない。
従来の利権がらみの行政体系に、官僚としての限界を感じて政界に転じた官僚出身の若手政治家たちである。「官僚制の打破」と叫ぶのは、その欠陥を内部から知り尽くしているから自信をもっているのかもしれない。彼らに、任せるのも良いか、という気にもさせる。
鈴木議員は、政界に転ずる直前は、実は、筆者と慶應大学湘南藤沢キャンパスで教鞭をとった同僚である。「情報社会論」では、前期は筆者、後期は鈴木助教授と担当して、よく議論を交わした間柄である。新聞記者出身と官僚出身というのは、どこか共通した問題意識があって、中島ゼミの学生が同時に鈴木ゼミにも属している、という例も多かった。最近では、共通の教え子の結婚式などで席を並べる機会も多い。
政権が交代しようがしまいが、組合運営には大きな影響はないが、これまでなかなか進行しない「IT基本法」の制定などは、通産省IT分野出身の議員が多い政権が誕生した方が、進展する可能性が出てくるのかもしれない。あるいは駄目かもしれないが、総選挙の結果を楽しみにするファクターがまた一つ増えたような気がする。