14日、恒例の全国ソフトウェア協同組合連合会(JSAPA)の賀詞交歓会に合わせた記念講演会で、鈴木寛民主党参議院議員(文部科学副大臣)に登壇してもらった。民主党政権になって、どうもIT政策が見えない。現職の経済産業大臣、副大臣、政務官の方々も、どうもITの専門家が見えず、ここは通商産業省時代の情報処理振興課、電子政策課で課長補佐としてこの業界で活躍した鈴木議員に民主党はIT政策をどう考えているのか、率直に聞いてみたいと思ったからだ。
情報処理振興課課長補佐に就任した時に業界についてレクチャーした業界の教師が、首都圏ソフトウェア協同組合の横尾良明最高顧問(前理事長)。また、鈴木寛議員が通産省を退官して慶應義塾大学SFC助教授に就任した時代は、中島洋理事長が同僚教授として2年間、連携しながら研究活動を進めた仲間だった。その縁もあって、多忙な時間を割いて駆けつけてくれた。
高性能スパコン予算が「仕分け」された後、鈴木寛副大臣が直ちにチームを組んで動き出して、現在国の研究機関や大学でばらばらに利用中のスパコンをネットワークで結びつけてがんなどの遺伝子の疾病解明などの重要な研究に活用する計画をまとめ上げて、復活させた裏話などを淡々と紹介してくれたことなども印象に残った。しかし、最も、筆者の胸に突き刺さったのは、政治がITに関心を弱くしている理由の一つに、マスコミ報道がめっきり少なくなったことを上げたことだ。
通産省の現役の役人時代に鈴木寛議員も痛感し、現役の経済記者時代に筆者も経験した重要なノウハウは、予算をとる上に、さらに議員の先生方に最もアピールする方法は、日経新聞の1面に分かりやすく、大きなニュースとして取り上げられることである。ITは難しい内容なので、記者はなかなか飛びついて来ないのだが、筆者が日経新聞の第一線で、コンピューター産業を担当した時は、分かりやすく解説したので、コンピューター関連の記事は連日、一面をにぎわしていた。それがめっきりなくなったのである。
これは後継記者を育てずに日経新聞を退職した筆者にも責任の一端はあると、胸が痛んだのである。IT産業の果たす重要な役割を訴える前に3Kだの7Kだの10何Kだの、面白おかしく、暗い側面だけが話題になってしまうのも、マスコミの取り上げ方の問題である。マスコミを嘆いていてはいけない。マスコミに理解できるように発表しないわれわれの側にも問題があった。
筆者にとっても収穫の大きな講演会だった。