自治体クラウドの実験のスタートがかなり遅れているようである。本来ならば、この3月末には実験が終わって何らかの成果がまとめられるはずだったが、新政権の考え方が明確になるまで、作業が停滞したので、ようやく、調達が始まったばかりということのようだ。「自治体クラウド」は「クラウド」の用語を使っているが、その心は「共用によってコストを安く」というところにある。説明を調べるとクラウド「型」という言葉が頻出する。「割り勘」という言葉も印象的だ。
どうやら、システム連携技術、仮想化技術、グリッド技術などを駆使してインターネット経由で・・・というクラウドの特色ではなく、安全性を重んじてプライベートタイプのクラウドで、それほどシステム連携は必須ではなく、また、データセンターはどこにあってもよい、というのではなく、なるべく地元に構築して地元の情報産業活性化に役立つように、という配慮が見える。
どうも純粋のクラウドとは違いがあると言うので、「クラウド型」と遠慮がちに表現しているようだ。本質は「共同アウトソーシングで、割り勘によってコストを下げるというところにある。従来もASPという形で推し進めてきたが、必ずしもうまくいっているというわけではない。今回、クラウドの衣を借りて、再度、共同アウトソーシングに挑戦しようという狙いではないか。実験を進める地域はデータセンター整備という形で北海道、京都府、佐賀県、データセンター共同利用実験で大分県、宮崎県、徳島県と、合計6地域である。当初は全国自治体の業務を数か所のデータセンターで集約してしまう、と理解されていたが、それでは地域の情報産業を圧迫する、という意見もある。実験段階ではそういう形態ではあるが、そこでノウハウを蓄積し、標準化すべきものを明確にして、その技術情報は公開して、そこから各地のクラウド型の仕組みを構築する、ということのようだ。
まだ、よく分からないことが多いので、事態の進展を見守りたい。