沖縄県の若手の経営者を集めた「次世代経営塾」がある。メッサとも縁の深い高市早苗代議士が内閣府沖縄担当大臣を兼ねていたときに、「松下政経塾」の「政治」の部分を抜いた「経営塾」を沖縄に作って3年の期限で開いた。塾長は江口克彦PHP研究所社長(当時)が務め、筆者もボランティア参加を求められ、3か月に1度、原則的に日曜日の日帰りで沖縄に行き、アドバイザーとして議論に参加している。
観光から製造業、健康関連などさまざまな21人の塾生の中にジャスミンソフト社の贄(にえ)良則社長がいた。その製品については知識がなかったが、最近、大手企業のCIOの勉強会で開発ツールの動向が話題になった際、ジャスミンソフトの名前が挙がった。どこかで聞いた名前だと頭を巡らせて、はたと思い当たった。先日、上京の折に泉岳寺の組合事務所に寄ってもらい、製品の説明を聞いて、驚き、勉強不足を悔いた次第である。
話題になっている同社の製品は「Web 対応の業務システムを完全自動生成する」と銘打った「Wagby」である。WAG はウェブ・アプリケーション・ジェネレーションの頭文字だそうだ。仕様書から Web 対応の業務システムを完全自動生成するのだが、仕様書の雛形を Excel で提供するのが特色だ。テーブル構成、画面レイアウト、権限設定といった基本設計情報を記入していくと、仕様書からWagbyが必要なソースコードをすべて生成する仕組みである。HTMLや JSP、JavaScriptなどを含み、開発者はノンプログラミングで完全に動作する業務システムを素早く作成できる。
5年前にリリースして3カ月に1回程度、バージョンアップしているが、すでに、採用実績は250案件を超えているそうだ。大手企業の部門内利用システムから中小企業の基幹システムまで業種を問わず採用されている。特に昨年の「定額給付金」の実施の際には、7つの自治体がWagbyを使って支援システムを開発したという。短期間に開発可能ということで採用され、2か月でシステムを実装できた事例もある。
これまで開発工数が大きく、受注が難しい分野とされてきたWeb対応の業務システムを「自動生成」型にして、開発会社の負担を軽くし、収益率の高いビジネスにつなげることができそうだ。贄社長は「Excel マクロや Access、FileMaker といったアプリケーションのWeb化というテーマの受託案件を掘り起こすことができる」と指摘している。Wagbyの開発キットは http://wagby.com/ で無償で公開しているのでダウンロードして試すことができる。マニュアルもすべて公開されている。プログラミング経験者であればチュートリアル学習後、一週間程度でシステム開発に携わることができるという。
開発ツールでは、組合加盟企業のアトリス社のPEXAも評判が高い。景気が回復して、次の発注で忙しくなる前に、評判が高くなっているこうした開発ツールの勉強を一通りしておき、新しい仕事に備えることが重要ではないだろうか。