しかし、こんなにも世論というものは動くものなのか。菅内閣が誕生した途端に、世論調査の民主党の支持率が谷底から、一気に高山の中腹、それもかなりの高いところまで跳ね上がった。迷走した鳩山首相への不安感が、菅首相の登場で一気に払しょくされたということだろうが、それにしても極端に振れるものである。
久しぶりの「たたき上げ」の宰相の誕生である。鳩山首相まで、何人、2世、3世の総理大臣が続いたものか。村山首相以来らしい。市民運動家から政治家になった経歴は筋金入りの覚悟を感じる。これまでの宰相が2世、3世だからといって、ただちに政治家の資質を疑うわけではないが、政治家を目指したときの動機が、「親(祖父)を乗り越える」「親(祖父)に追いつく」という家庭の事情にしかなかったのではないか、と思わせるかなり資質の劣る政治家がいたことは否めない。
菅政権が果たして、どれだけの実績を挙げるのか。
このところ、期待して裏切られることが多かったので、あまり過大な期待を抱かないようにするが、「失われた10年」が、いつの間にか「失われた20年」になった今日、残された時間が少ないのも確かだ。これまでの前提条件を大きく修整して、東アジアの発展を織り込んだ日本復活のための新しい設計図を一刻も早く描いてもらわなければ、日本がクラッシュする危機が迫っている。
どうやら、世論調査の内閣支持率は移ろいやすい指標で、これに振り回されるのも日本の政権を不安定にするので好ましくない。しばらく、内閣支持率に振り回されないどっしりした政権が続くことを期待したい。これまでの前提条件を修整することには、激しく抵抗する人々が出てくることは確かだが、特効薬は東アジアに隠れている。国民感情を正しい方向に導きながら新しいシナリオを完成させられるか。日本経済が取りつかれた疾病は短期間で治癒できるものとは思えないのである。