再び中国とどう付き合うか~~政治と経済の分離

再び中国とどう付き合うか~~政治と経済の分離

 尖閣問題は、日本と中国の関係について、濃い陰の存在を表面化させた。しかし、こんなことで逡巡する必要はない。日中には、未解決の問題がいくつも水面下に隠れている。南京虐殺問題、靖国問題、教科書問題――など、まだ、時々、水面下から噴出するに違いない。それをどのように克服してきたか? ちっとも克服していない。時間が経って、問題を一時的に表面から遠ざけて、政治課題から棚上げされただけである。その間に、経済関係が緊密化して、政治の影響力を上回った分野がいくつも出てきた。現在はそういう状態である。

 理屈ですっきりと割り切れるものではない。事態を時に応じてあいまいなまま進める東洋的な手法と言えないこともない。政治の分野では西欧でも同じ方法論はあるだろう。しかし、政治的には相容れないと思われる台湾と中国の間で、経済関係は密接不可分な状況が進展している実態をみると、これは西欧的合理主義ではとうてい、理解できない。

 日本の戦後の合理主義は西欧を目標にしたために、過剰に理屈に走りすぎて、西欧以上に厳格になり過ぎている。そのために中国との関係を扱いかねているのではないか。中国と付き合うには、西欧以上に律儀な「西欧合理主義」、というか過度な「合理主義」にこだわってはうまくゆかない。まねすべき、というか、「パクる」べき手法は台湾の手法である。台湾は政治関係を超える次元で経済で中国の奥深くに浸透した。中国は台湾の脅威を自覚したために、これをけん制するために韓国との経済関係を緊密化する策に出ている。台湾としては、その中国-韓国の緊密化を超えるために打ち出す手の1つとして、「日本カード」がある。韓国は反日、ライバル意識の双方から、日本と手を組んで中国に接近する手法は取りにくい。これに対して台湾は日本と連携して韓国と対抗する勢力を形成しやすい。

 政治が緊張しても経済で中国の国民と親しい関係を構築してゆく。結局、こうした手法によって信頼関係を築き、冷静に双方の歴史観を客観的なものにすり合わせてゆく。時間がかかるが、こうした地道な努力の積み重ねを続ける以外にないのではないか。

 ITソフト産業もそうした国家間の新しい関係を築く、経済分野の営みの1つになる。政治の激しい動きに目を奪われて経済関係の構築を忘れてはならないだろう。

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