ITソフトウェア基準法(案)の試み

ITソフトウェア基準法(案)の試み

 首都圏ソフトウェア協同組合(メッサ)の横尾良明最高顧問がかねて提唱し、
真杉幸市理事らが草案作りを行っている「ITソフトウェア基準法(案)」に
ついての活動がこのところ活発化している。メッサが所属している全国ソフト
ウェア協同組合連合会(JASPA)として、このところ、一昨年から昨年に
かけて、当時、経済産業大臣政務官だった高橋千秋議員に提言に赴き、また、
民主党副幹事長の細野豪志議員、吉田おさむ議員、菊田真紀子議員にも要望書
を手渡し、その趣旨を説明して回っている。ポイントは、目に見えにくいソフ
トウェア開発工程を可視化して、国民生活を支える重要なインフラとなった情
報システムがトラブルが起きないように、起きた際には迅速に対応できるよう
に記録・確認業務を法律で義務化する、ということだ。国民の生命、健康、財
産を守るためには最低限必要なことを盛り込む。

 長らく、歴代の経済産業省の情報処理振興課の幹部に提案し、意見交換して
きたが、なかなか前進しなかった。業界の根本となる法案作りとなれば、業界
関係者の意志の摺合せ、他の法律との調整など、経済産業省幹部の1つのポス
トの任期である2年間では、とうてい完成できない作業になる。もっと手近な
補助金や助成金の制度づくりの方が取り組みやすいので、どうも、今の官僚制
度のもとでは難しそうなのである。時代は「政治主導」でとりわけ国民の生命、
健康、財産にかかわることなので、これは政治家の責任である。政治の世界か
ら実現できるのではないか。

 こうした経験から、横尾最高顧問は基準法案の中身を簡略化して、最も必要
な契約書や作業進行の各段階での確認書の記録を残す、作業の記録を残すトレー
サビリティの仕組みだけに絞り込んできた。

 よその業界では作業プロセスで、作業者の作業時刻、作業者名、担当プロセ
スを記録するのは当たり前である。工場の作業者は、部署につけば、ICカード
や名札のバーコードなどで名前を記録し、作業時刻などは自動的に記録される
ので、何の負荷もなく、トレーサビリティシステムが構築できている。消費者
の手に渡る最終プロセスであるスーパーやコンビニでもレジ担当者の名前と時
刻がレシートに記録されているが、もちろん、作業記録として企業の側でも保
管して、さまざまな用途に利用している。

 その作業がなぜ、情報システムをフルに使うソフトウェア産業でできないのか。
だれがプログラム作成の作業をし、だれがいつ点検し、ユーザー企業がそれを
確認したか、これらの工程をスムーズに作ることはそんなに難しいことではな
いと思われる。他の業界ではとっくにやっていることだから。

 法律を作るというのは生易しいものではないことは承知。さらに資金もない
団体では困難のは承知しているが、このところ、少し前に進む手ごたえを感じ
て、熱が入り始めた。沖縄県宮古島市在住の横尾最高顧問も上京回数を増やし
て、取り組んでいるので、ぜひ、応援をしてあげてください。

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