まだまだ根気強く「基準法」

まだまだ根気強く「基準法」

 3月末に、経済産業省で異例の人事異動があった。情報処理振興課長の交代である。それも単純な交代ではない。東条前課長がNEDOの部長に異動、しばらく情報政策課長が兼務した後、高橋現課長の就任となった。同時に課長補佐も何人か交代した。例年は6月から7月にかけて行われるものが、急きょ、前倒しで実施された。福島原発の事故の収拾のために、経験ある担当者が原発関連に呼び集められて、その玉突きでいくつかの部署に異動が波及した。

 この異動で残念だったのは、東条前課長時代に、横尾メッサ最高顧問が提唱し、真杉理事や小口グリーンIT協同組合理事らが成文化してきた「ITソフトウェア基準法(仮称)」の検討が少し、後退したことだ。下田前課長補佐とは案文をめぐって議論を交わし、法案よりも別の可能性はないか、という逆提案もいただきながら、やはり、基準法作りが最適ではないか、と、徐々に前進しつつあった。

 4月最後の金曜日に、石井一二メッサ顧問の仲介で、横尾最高顧問らと高橋新課長に挨拶に出向いて、中小のソフトウェア業界が抱える問題点などのレクチュアと基準法についての説明を行い、意見を聞いた。もちろん、就任したばかりで、一度にいろいろな情報を吸収しきれないので、今回はとりあえず、そうした提案があることを理解いただくにとどまった。いつものことだが、前の担当者から現在の担当者に引き継がれる案件は限りがあるので、基準案いつい
ての引き継ぎはなかったようだ。前課長時代には前進があった、と認識してもらうに止まった。

 残念な気もするが、前の課長、課長補佐の方にはそれなりに理解してもらって異動していったが、また、こうして基準法案を理解した人があちこちに拡散して増えるのだから、世論喚起の布陣の効果はあったわけで、これまでの努力が無駄になったというわけではないだろう。わずかながら前進と納得しておこう。これも大震災の二次災害? 原発が2次災害とすれば、それに伴う人事異動だから三次災害か?

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