不気味な地震の兆候

不気味な地震の兆候

 あの忌まわしい大地震、大津波、原子力発電所事故から1年が経つ。まだ、三陸、福島、茨城、千葉と、東北から関東までの東日本は地震が頻発している。時には震度5の強さの地震も襲ってくる。長い余震なのか、それとも、新たな大地震の前震なのか。不気味な状況が続いている。

 基本的には次の大地震の前震とみるのが正しい見方ではないか。日本は言霊の国なので、言葉に出せばそれが出現するから不吉なことは言葉に出さない、というのがマナーである。それが最悪の事態を想定するリスク管理を甘くする。あってほしくないことは、「起こらない」と仲間同士で語り合って信じ込んでしまうのである。「想定外」は起こるかもしれないとは思っていたが、言葉に出すと本当に起こるかもしれないので、「想定したくなったこと、語り合いたくなかったこと」という意味である。福島原発事故は、まさに、そうであった。

 週刊誌や夕刊紙では、地震に関するセンセーショナルな報道が相次いでいる。過激なマスコミは、危機を過剰に強調することで注目度が増すため、やや大げさなことがあるので、丸ごと信じるわけには行かないが、地下水の上昇や富士山直下の地震の頻発などの客観的な現象は、次の大震災が遠くないことを示唆している。

 どのような規模かは予想が難しいが、想定の幅を広げて、大被害を想定したリスク管理の対策を講じておく必要がある。安全な避難場所の確保、非常時の生活物資の備蓄や負傷時の医薬品の準備はもちろんだが、情報サービス業としては、特に、重要なデータ、ソフトウェア、コンテンツは必ずバックアップして、北海道や沖縄など遠隔地に保管する体制をできるだけ早く構築するべきである。

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