農業革命も同時進行で進めるべきだ

農業革命も同時進行で進めるべきだ

 IT革命はエネルギー革命を巻き込みつつあるが、もう1つ、忘れてはならないのは農業革命を進める原動力になりつつあることだ。気象に左右される天候任せ、運を天に任せる農業にどこまでIT革命の威力を及ぼしてゆくのか。

 1980年代、まだインターネットが登場する前、パソコンとパソコン通信を使って、圃場管理や生育管理、市場への出荷計画、利益管理、さらにパソコン通信での消費者からのネット受注など農家の作業や経営状態、最適な出荷、消費者との直接交流などを実践してきた茨城県の農家、田上隆一さんは、技術やインフラの進展とともにIT農業を進化させている。農産物のトレーサビリティを早くから提唱し、これを実現させる運動にも中心的役割を果たした。

 さらに農産物の安全、安心を確保するために、欧州で定着したGAP(グッド・アグリカルチュアル・プロダクツ)の仕組みをいち早く日本に紹介して団体を組織した。ただ、この団体が「消費者のための安全」に傾斜したのに反対して、団体を離脱し、新たに「生産者も消費者もともに安全、安心な農業プロセス」を追求する「生産者GAP協会」を設立して活動を発展させている。もちろん、情報通信をベースにして実現する先端農業である。

 この先端農業は、化学肥料を減らし、農薬を減らし、天然肥料を重視したものである。消費者に安全、安心な農産物を届けるのは当然の事、その生産プロセスにおいては、農作業従事者や取引関係者、地域住民に対しても安全、安心な状況を維持することが追求される。すべての関係者がより安全、より安心な農業を目標とするのである。

 そういう観点からいうと、現在、農業が地域の環境を破壊する最も大きなリスクが化学肥料や農薬による地下水の汚染だそうだ。もちろん、生物由来の肥料でも地下水の汚染のリスクがないわけではないが、圧倒的に化学肥料の影響が大きい。特に肥料成分のうち窒素の影響が懸念されるようだ。地下水に溶けて硝酸が生成されて有毒化する。この危険がまだ、十分に認識されていないし、科学的な検討もされていない。ITを利用してこうした状況を監視し、制御できるような仕組みづくりが急がれる。

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