日本のIT戦略は復活するか

日本のIT戦略は復活するか

 民主党政権時代、残念ながら、日本のIT戦略はストップしてしまった。IT戦略本部は総理大臣を本部長にして組織はあったが、一度も機能しなかった。民主党にITの分かる幹部が不足していて、ソフトウェア協同組合として与党に要望を持ってゆく際にも、適切な人物に到達するのに苦労した。協同組合の皆さんの縁故を求めて、大変なご協力をいただきながら意見交換の場を持つことができたが、なかなか、思うような前進は見られなかったのは残念だった。

 今回の自民党政権では、昨年の賀詞交歓会の際の特別対談で登壇していただいた平井たくや衆議院議員がキーマンになるようだ。マイナンバー制度の早急な確立、サイバーセキュリティ体制の構築など、昨年の特別対談で平井議員が問題提起したテーマは、本格的に政府の政策として検討されることになる。平井議員は衆議院の常任委員会の1つ、内閣委員会の委員長に就任するが、与党の情報産業関連の議員のリーダーとしての立場は変わらない。

 12月下旬、選挙終了5日後、産官学民で構成される情報化推進国民会議の委員会で平井議員をゲストに招いた研究会が開かれた。元々、国民会議の今年度のテーマが「サイバーセキュリティ」で、何人かの専門家に講師を依頼した1人として、政治の分野で最も鋭い主張をしていた平井議員に依頼していたのだが、偶然にも、タイミングが選挙後のこの時期に当たった。平井議員は上述したマイナンバーやサイバーセキュリティ問題に触れ、野党時代に練り上げた情報施策について概略を述べた。

 その中でIT戦略本部が3年余り休眠状態だったことにも触れ、また、日本の主要なIT企業が急速に経営の難局に迫られていることを危機意識をもって指摘し、早急に、日本のIT戦略を始動させなければならないことにも触れた。

 ぜひとも、日本のIT戦略の再構築を急いでもらいたい、と率直に思った。新政権への要望である。

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