OA協会20周年の悩み

OA協会20周年の悩み

『内田洋行inkSpot』  2002年3月5日

 日本オフィスオートメーション協会が発足して20周年になる、というので記念事業として会員有志企業と共同研究活動を進めている。この共同研究に有識者として参加しているが、議論を進めるうちに大きな壁にぶつかった。オフィスオートメーションという概念が今なお、通じるのか、という根本的な疑問である。単に、名前だけの問題を言っているのではなく、経営者の間で、オフィスオートメーションや企業のIT化に対する情熱が一時ほど感じられないのはなぜなのか、という重要な問題提起から、この疑問へとたどり着いたのである。

 結論から言って、企業へのITの導入が、いまだにオフィスオートメーションなどというのん気な問題意識で取り組んでいるとしたら、それはトンデモナイ誤りである。企業経営者の間で、個々の業務の生産性向上について興味が沸かなくなっているのは、企業経営者の最も重要な関心は、まさに、この企業が生き延びられるかどうか、部門を売却するか、合併するか、あるいは閉鎖するか、そういう意思決定に迫られている。そういう時期に、会計部門で合理化を進めて15%の経費削減につながった、と言っても、説得力がない。

 オフィスオートメーションは、すでに事業の変化が激しくなく、業務の内容が固定化されて、イノベーションを起こす源泉が業務の手法にあるときに、最も有効な手段であった。極端な言い方をすれば、明日、倒産するかどうか、それが議論になっているときに、多少の業務革新は無意味に思えるのである。

 明日、倒産する危険がなくても、事業部門をどこかに売却することを考えているときに、何もお金をかけて会計や営業を合理的なシステムに切り換える必要はない。うまく売却できたら、向こうの企業が投資をすれば良い事で、まかり間違えれば、そのシステムが向こうのシステムに合わずに全面的に作りなおさなければならないかもしれない。余計なお世話だったと、叱られるかもしれない。

 こういう時期にOA協会としては、どのような提言をすれば良いのか。どうやら、激しい議論の後に、道筋は見えてきた。もう少し、内容を固めれば、世間に発表できる形式に整えられるところまで来つつある。いずれにしろ、OA協会が誕生して20年。時代は大きく変わった、と、改めて実感させられる。


内田洋行 『inkSpot』 2002年3月5日

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