内田洋行『inkSpot』 2002年9月30日
モンゴル出身の力士、新大関の朝青龍は、残念ながら秋場所はそこそこの成績だったが、母国のモンゴル社会は、すごいことになっているそうだ。以下、また聞きで恐縮だが、余りに驚いたので、紹介させていただく。
人口は230万人と小国だが、何と、大学進学率が、ここ最近は、80%という高率だそうだ。国民所得が一人当たり平均450ドル程度の状況なのに、大学の学費はざっと300ドル。それでもこの高率なのだそうだ。モンゴル経済を支えてきたソ連の崩壊後、モンゴルが国家戦略としたのが「教育」。国家再建のために国民に技術と知識を備えさせようと舵を切ったのである。もちろん、草原の国であるから、そこに製造業を招くのは難しい。狙いは、ソフトウエア開発。公害の少ないソフト産業を立国の柱に据える覚悟のようだ。貧しくとも、国家百年の計を考えれば、何を措いても教育。どこか小泉首相が引用して話題になった「百俵の米」の話を思い出させる。学生たちは学費の300ドルのうち、100ドルはアルバイトで稼ぎ、100ドルは5年返済のローン、残りの100ドルは政府が奨学金を用意している。
そうは言っても、日本人にとって、モンゴルのイメージは草原とテント。実際、国民の多くはテント生活だそうだが、子供たちは半年間は寄宿舎に入って集団生活で教育を受けるそうだ。ここで普及しそうなのがe-ラーニングで、国が利用促進を図っているものとみられる。通信は衛星と無線で、この面では日本よりはるかに先を行く状況だ。
e-JAPAN計画を打ち出し、国内に急速にブロードバンドが浸透するのをみて、日本も捨てたものではない、と思っていたら、世界はトンでもない勢いで変化している。中国は年率7%の高成長を5年も続けているし、韓国も日本より一足早くIT大国の道を驀進している。モンゴル出身の朝青龍の活躍で、草原の中で相撲をとるモンゴルの力士の光景をこのところ何度も見て、そういう国かと思っていたら、テレビに映らない向こう側では、ものすごい変化である。
日本も、こういう国に伍して発展するためには、もう一度、アクセルを踏み込まないのではないか。
この話の情報源は、国際経験豊かなビジネスマン、NECのソリューションカンパニー・海東泰執行役員常務。NECはC&Cを標榜するが、それになぞらえて、「モンゴルは相撲&ソフト、つまりS&Sだな」とモンゴルからの帰りの飛行機で海東さんたちは語り合ったそうだ。日本のお株だった相撲もソフトもモンゴルに取って代わられる日が来るのか? 心して、日本再建策に拍車をかけなければなるまい。
内田洋行 『inkSpot』 2002年9月30日