内田洋行 『inkSpot』 奇論・暴論 2003年9月29日
風速74.1メートルの記録的な暴風が宮古島を襲った。風力発電の主柱が2本ぽっきりと折れた。電柱も700本が折れて、15日現在で、全世帯の40%がいまだに停電。電話も復旧のめどが立っていない世帯が多数に上るという。台風14号はさまざまな教訓を残した。
同じ台風は勢力を衰えさせながらも、なお、強力な台風として韓国に上陸、100人以上の死者・行方不明者を出す大災害をもたらした。その韓国の災害状況と宮古島の被災状況を比較してみると、宮古島の方は不幸にも亡くなられた方が一人、負傷者は100人程度が報告されたが、韓国の状況を考慮すると、人的な被害は最小の被害に食い止めた、と言えるだろう。電柱があれだけ倒れ、風力発電の惨状を映像でみる限り、この人的被害の数字は奇跡的とも言える。
負傷者は猛烈な風でガラスが破れ、これが凶器となって傷を負ったものだ。元来が台風の多い島だったので、風に対する備えは高い水準に行っていたのではないか。欠けていたのはガラスの破損に対する対策、電柱、細長い構造物に対する対策だったが、これは今後の防災対策時に克服すべき事項として確実に織り込まれてゆくだろう。
問題は電力や電話回線の破損である。すでに水道は普及した。ガスもプロパンで回復は早い。しかし、電力と情報の被災だ。日本の21世紀のインフラである情報ネットワークも災害の前には抵抗するすべもなかったらしい。風や雨に強い、地震にも火災にも強いネットワークインフラに切り換える必要がある。
都心では、景観の問題から電力線、通信回線などを共同溝に埋設し、電柱を追放する計画が実行されている。特に新たに建設する新都市では、電柱が見えないところも少なくない。だが、果たしてそれだけで良いか。今回の宮古島の教訓は、電柱に対する疑問である。とりあえずの復旧策として電力線、通信回線のための電柱を再構築するだろうが、それに止めてはいけない。回線の光ケーブル化、地中化、電力線との共同溝化を、早急に進めなければいけない。宮古島だけではなく、これは日本各地の電力ネットワーク、通信ネットワークの見直しへの警告である。
それにしても、宮古島にいる親友との連絡がまだとれない。パソコンを駆使し、インターネットを駆使するスポーツインストラクターで、その手段を武器に全国各地に自然保護の運動を訴え、宮古島への観光誘致を展開してきた知人である。離島でもネットワークを基盤に質の高い活動を展開してきたが、5日間、音信不通だ。高度な情報社会は、一気に原始社会にもどってしまったのか。
内田洋行 『inkSpot』 奇論・暴論 2003年9月29日