内田洋行『inkSpot』 2003年10月27日
週末、沖縄県の宮古島に所要があって、羽田空港から最終便で出発しようとして「利用者本位」のサービスとは何か、深く考えさせられる一件に出くわした。
東京での午後一番の用事を済ませ、日本航空(JAL)午後3時15分羽田発で那覇に向かい、日本航空グループの日本トランスオーシャン(JTA)那覇発最終5時55分発の宮古行きに乗り換える。この晩、平良市で開かれた会議の途中で何とか間に合わせたかった。日本交通公社(JTB)で手配したチケットだったが、羽田のカウンターで、「これは使用できない」と拒絶された。このJALは那覇着5時45分着の予定で、乗り換えまでに10分しかないので、このチケットは間違って発見されたものだ。「JTBの発券ミスだから、JTBに連絡してキャンセルしてくれ」と言って、すげなくチケットを返却された。
那覇行きのJALに乗る時間も迫っているので、呆然とした。その場で、あわてて携帯電話で件のJTBに電話したが、通話中の信号音が鳴るばかりで、連絡はつかない。時間もないが、カウンターの係りの女性にどうすれば良いか、とりあえず、那覇まで行くべきかどうか、宮古行き最終を逃した場合、翌日の飛行機の予約はとれるのかどうか、尋ねたが、カウンターの担当者は、厚い規則のマニュアルを持ち出して、乗り継ぎのチケットが発券できるのは乗り換え時間が15分以上に決まっており、「ここにそういう規定がある」とカウンター越しに説明しようとする。もちろん、いまさら、筆者がそんな規定を聞いても意味がない。そういうことは乗客の問題ではない。旅行会社と航空会社での議論である。こちらは、那覇に何時に到着するのか、チケットには出発時刻しかないので分からないし、乗り継ぎ便との時間が10分しかないことも分からないので、そんな説明は時間の無駄である。
そこで筆者がとった行動は、すぐにこの担当者との話は打ち切って、出発時間が近づいている那覇行きのJAL便に乗ることだった。同じJALグループなので那覇のJAL到着口とJTAの搭乗口は近いはずなので、走れば2、3分だろう、時間が10分あれば、出発時間には間に合うだろう。荷物も手持ちで機内に持ち込むものばかりだ。幸い、那覇到着は5分早く、時計を見ると、定刻出発時間の15分前だ。すぐに、近くにある乗り換え手続きのコーナーに走ってチケットを出すと、議論もなく受け付けてくれた。宮古行きは出発が5分の遅延で、新しい出発時刻には16、7分の余裕があった。
筆者の考えでは、到着、出発が仮に定刻だったとしても、強引に乗るつもりだった。こちらはどういう事情でミスが起きたか知らないが、搭乗のチケットを持っており、飛行機は出発前だ。空席があるならば、その乗客に搭乗の権利がある。那覇に延着で、すでに出発していれば仕方がないが、扉を閉めていなければ乗せるのがサービスである。
筆者が、羽田のカウンターで聞きたかったのは、そういうことである。企業間の規則の説明をするのではなく、「ミスで発券しているので、希望通りの結果になるかどうか分からないが、那覇まで行くのも一つの方法。乗れないかもしれないが、運が良ければ乗れるかもしれない。そういう乗客がいることを伝えておく。そういう危険を冒したくなければ、キャンセルして、JTBに善後策を依頼したらどうか」という提案を聞きたかった。
那覇で快く乗せてくれた乗り継ぎ担当者の行動はルール通りだったのか、どうか、筆者は知らない。しかし、羽田のカウンターでの冷たい応対の後だったので、那覇の乗り継ぎ担当者が、神様のように思えたのは確かだ。窮地を救われた。しかし、それにしても、コンピューターで発券しているはずなのに、こういう発券ミスが起きたのは何故なのか? JTAの那覇発宮古行きのJTAの出発時間が後5分、遅くならないのは何故なのか? いろいろ疑問は残った。
内田洋行 『inkSpot』 奇論・暴論 2003年10月27日