不思議な新聞記事を読んだ。
牛肉ミンチ肉偽装事件のミートホープ社についてすでに1年以上前の2006年2月に内部告発が行われた件で、ある調査が打ち切られたそうである。内部告発の通知を受けた農林水産省北海道農政事務所は、同年3月24日に告発文書を北海道庁に持参して担当者に手渡したと主張し、一方、道庁は「その日は担当者が出張中だった」と受理を否定している。双方の検証チームによる調査でも結論は変わらなかった、と記事は記している。
驚いたのは、当事者たちの関係者で調査チームをつくっていることだ。おいおい、こういうときは第三者が調査して、突き止めてゆかなければならないではないか。どちらかに犯人を作るよりも犯人不明でうやむやになればどちらにも傷がつかない、という結果が見えれば、だれも責任を取らずに済むところで落着させようという「大人の合意」が働いた「無気力調査」と推測されてもしかたがない結果だ。相撲界では「無気力相撲」と呼ぶが、世間では「八百長」と呼ぶ。厳しく断罪される状況である。
見解が相違したままの決着ついて、農林水産省の幹部は「組織として率直反省し、お詫びをしたい」と言っているそうだが、ただ、「お詫びをしたい」と頭を下げれば済むような問題か。告発文書を手渡した農水省の担当者は、その後、この文書の取扱いがどうなっているか、確かめもせずに、自分の責務は果たした、と主張する。道庁のほうは「担当者が出張中だった」というが、代理でだれかが受け取り、後日、受理する体制になっていなかった不備を反省もせずに、出張中ならば業務を行わなくて当然だと、責任放棄に対して悪びれるところがない。
その改善策も、こうした怠慢に対する処罰も行われないなら、事態は一向に改善されることはない。厳正なる第三者にもう一度、調査しなおしてもらい、このずさんな調査結果を受け入れた農水省の幹部をも同時に処分してもらわなければ、この国の行政府の怠慢は改まらないのではないか。
そういえば、この国には、大臣の不祥事のたびに「任命責任は私にある」と言いながら、特に、自分に対する何の処分も行わずに、次の大臣を指名してにこにこしている最高首脳もいる。どうも「任命責任」というのは、「次の大臣を指名する権利」のことだと誤解しているのではないか。こういう言葉を知らない政界、行政府の方々が、いくら「お詫びをする」と言っても、こちらはその言葉は信じていけない。この不思議な記事を読んで、改めて、長いため息をついた。