久しぶりにのんびりと夏の甲子園大会をテレビ観戦したが、2回戦で、仙台育英高校の佐藤由規投手が智弁学園(奈良)を相手に投げた155キロの速球には驚かされた。といっても、テレビの画面を通じて見るせいか、155キロも数字を見なければ分からなかった。スコアボードに掲示された数字をみて、アナウンサーが叫び、球場がどよめいたので、改めてその数字を確認して、「すごい投手だ」と感激した次第だ。
1回戦の智弁和歌山戦でも、夏の甲子園最速タイ記録の154キロを投げ、これも目撃したが、正直な感想を言うと、これも画面を通じて見るせいか、それほど速いという感じはしなかった。それでもバッタバッタと三振の山を築いていたので、バッターボックスでは実感はずいぶん違うのだろうな、と思っていた。
しかし、2回戦では、150キロを超える剛速球を次々と投げているにもかかわらず、智弁学園の打者は回が進むにつれてしだいに速球を芯で当てるようになってきた。チームとして、速球に合わせた打法をつかんだのだろう。150キロを超えるような速球があんなに簡単に打てるようになるとは信じられない思いである。5回に集中打を浴びて5失点し、敗色が濃くなったゲーム後半でも佐藤投手は再び150キロ台の球速を記録していたが、1回戦ほどには三振を取れなかった。
素人の感想だが、佐藤投手は、球速はあるが、ゆるい球が少なく、スライダーも140キロ台が出るほどの高速の変化球だった。速いだけでは、やはり目が慣れてくるのだろう。そこにもろさがある。勝ち進んでいるチームの投手には130キロ台の速球で面白いように三振を取る者もいる。こういう投手は100キロ程度の極端にゆるい変化球を投げて、緩急の差が大きい。また、コントロールもよく、きわどいコースに球が散っていた。速球だけが投手の価値を決めるわけではないようだ、と今更ながら気がついた。
企業の経営も、情報システムの体系もそうだ。効率一辺倒、実績一辺倒で、価値を決めてはまずい。緩急、つまり、従来のような実績主義、成果主義、効率主義の体系では、実は企業や情報システムにはもろさがある。冗長度、息抜き、コスト負担はかかるがセキュリティ、そしてバックアップやリスク対策の配慮がないと、いざというときにもろさが出るのではないか。緩急の妙、甲子園で生きているノウハウは我々のビジネス社会でも重要なポイントなのではないか。こういう観点から、もう一度、経営システムや情報システムを見直してみることが肝要ではないか。