08年は「国際さんご礁年」なのだそうだ。不勉強で、つい数日前に知ったばかりだ。日本では、12月9日の日曜日、東京池袋の立教大学キャンパスにある太刀川記念館で、来年1月に始まる国際年の開催を宣言する「国際さんご礁年オープンイベント」が開催されて、全国各地からさんご礁の危機を救う活動をしている方々が集まった。環境省で自然環境を担当する中島慶次氏をはじめ、立教大学の阿部治教授や国立環境研究所の山野博哉先生などの学者・研究者、富士ゼロックスでCSRを担当する宮本育昌氏、沖縄県庁で自然保護を担当する宮良道子さん、ダイバーの山中康司氏ら、産官学と現場でさんご礁に接する仕事をしている人々が意見をぶつけあった。
女優でダイバー、かつ、現在はさんご礁保護のために沖縄でさんごの移植運動を行っているNGO「アクアプラネット」会長の田中律子さんもさんご礁を積極的に取り入れているサンシャイン国際水族館館長の安永正さんと対論を行った。
討論を聞いていて気がついたのは、あまりICTの議論がなかったことだ。田中律子さんはさんごの生育と移植に係わる豊富な写真をパソコンを操作してパワーポイントで映し出してくれたが、当の活動の中ではどこにもICTの姿がなかった。概ね、皆さんの話もどこどこでセミナーを開催したら多くの人が集まって盛り上がった、というような活動報告が多かった。唯一、国立環境研究所の山野先生のプロフィールの中にリモートセンシング(衛星からの地球観測)の言葉があったが、休憩時間にうかがったところでは、「白化現象」などで、さんご礁の異変が伝えられている現状にはまだ対応していないそうだ。
今、筆者らが企図しているのは、水中に防護措置をしたWEBカメラを多数のポイントに設置してさんごを常時撮影し、そのデータを無線で集めてインターネットに載せて、世界中の研究者がどこからでも観測できるようにするシステムを作ることだ。もちろん、水温や海水成分、日照などの他のデータも一緒に送って分析する。このシステムは、億円単位の経費が掛かるのだけれどもどうやって調達するか。
もしそれができたら、このデータをリモートセンシングで得られるデータと組み合わせて、さんごの状態と衛星で得られるデータの相関をとることができないか。そこで連関がつかめれば、他の地域のさんごの状況は衛星から把握できるようになる。効果は絶大だ。
さんごの研究者や活動家がまだ、気がつかないならば、ICT専門家であるわれわれの側からあれこれと提案をしてゆかなければならない。そう強く感じたオープニングイベントだった。そうそう、このイベント中に繰り返された標語は「知ろう・行こう・守ろう」だった。読者の皆さんも、滅びゆかないとも限らないさんごの現状を知るために、ぜひとも南の島に行ってダイビングしてください。さんごの危機は海洋の危機、それは人類の危機でもあるのだから。