政府は大規模災害時にGPSやICタグを利用して救援トラックや輸送物資の位置を把握して効率的に救援物資を輸送するシステムを構築することを決めたそうである(2月2日読売新聞)。同時にどの避難所でどのような物資が不足しているかを把握して、必要な物資を正確に適切な場所に届くように一元管理する計画である。
ITが災害時に効果的に機能するのはたいへん素晴らしいことである。特にICタグの効用に注目したところが素晴らしい。もちろん、この効用を生かすためには、大規模な災害が起きてから突然、救援物資にICタグをつけても、期待する効果は望めない。平常時から輸送手段のGPSによるコントロールを利用し、また様々な荷物にICタグを付して運用する習慣を身につけていなければ、緊急時には役立たない。
では、平常時にこれらのシステムをどのように使えばよいか。
現時点で焦眉の急として注目しなければならない問題がある。CO2の抑制である。貨物の移動を追跡し、トラックの経路を観測して、そこにどのような無駄が生じているかを分析することだ。少なくとも政府調達品についてはこうしたシステムを利用して最適な流通経路を計算して届いたものしか購入しないようにルールを作ればよい。これも環境に配慮した政府調達の仕組みになるし、民間に先んじて率先垂範の事例になる。
もっとも、「グリーン購入」では政府はミソをつけた。再生紙の使用比率を決めていたのに、その比率が偽装されていたことが判明して大騒ぎになったばかりなので、「グリーン購入」という用語そのものに不愉快な思いが付きまとうかもしれないが、現在の情報ネットワークの技術からすれば、輸送トラックの実積載量、燃費、走行距離などから、個別にCO2使用量を推計することなど軽い作業だ。すでに民間でも、ASPで輸送トラックの最適な経路と積載物の輸送指示をするサービスも登場して人気が出始めている。これにICタグをつけたデータ処理と解析機能を加えれば良いだけだろう。
政府が政策を打ち出すときには省庁の壁があって多目的に使わずに、単一目的に絞りがちだが、財政逼迫の折、ぜひとも平時のシステムを非常時にも応用する知恵を発揮してもらいたいものである。