データセンターとSaaS市場の急拡大

データセンターとSaaS市場の急拡大

 いよいよNTTの光ファイバーによる新しい高速回線サービスである「NGN」※がスタートする。従来のオープンなインターネットではユーザーが自由に(勝手に)利用できるために大きなメリットがあったが、他方で混乱と無秩序への危険と不安と同居状態だった。多少、自由さを犠牲にしても信頼と秩序のあるネットワークサービスを提供しようというのが新サービスの狙いである。

 信頼度が高まるということで、ネットワークを通じてさまざまなビジネスサービスを提供しようという事業者も名乗りを上げてくるだろう。すでに通信の高速化を享受して、ASP・SaaSのサービスが急増して、国内でも年率30%以上の高成長を見せている。さらに、ASP・SaaSの事業者の便を良くしているのが、第3者にリソースを使用させるデータセンターのサービスの拡充である。データセンターはサーバーを収容するラック数で能力を表現しているが、収容可能なラック数はこの1年で30-50%は増加していると推定される。さらに、主要な事業者に増築の計画を聞くと、ここ2年ほどは、収容能力がこれまでと同様のペースで拡大してゆくと見られる。

 いずれも高速通信ネットワークが整備されたことに伴う市場の変化である。プログラムやデータをユーザー企業で管理しなくても、ネットワーク経由で外部の専門事業者からサービスの提供を受けたほうが有利になってきたためにASPやSaaSが注目されてきた。また、遠隔地にデータセンターを置いても、高速ネットワークを通じて利用すれば、隣のビルにセンターが置いてあるのと変わりがなくなって、適切なデータセンターを全国から選べるようになった。運用・管理の面で専門事業者に任せたほうが圧倒的に有利なことから、データセンターの需要が一気に爆発しているわけである。

 また、内部統制が厳格化する中で、企業の事業継続の観点から、企業の基幹である情報システムのバックアップ、データのバックアップの必要性が高まり、高速ネットワークを使えば同時被災を免れることになる遠隔地のデータセンターに注目が集まっている。高速通信ネットワークは情報システムの構築方法を根本から変えつつある。「NGN」のサービスが始まるに際して、コンピューター主導の時代から、通信ネットワーク主導へと、時代の大きな転換点にさしかかったことを実感する。

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