未来型産業集積パークとは何か

未来型産業集積パークとは何か

内閣府(旧沖縄開発庁)と沖縄県が共同で検討してきた「沖縄・IT津梁(しんりょう)パーク」の構想がほぼ固まり、沖縄県内の雇用8000人を目指す産業団地の建設がいよいよスタートすることになった。沖縄本島の中部、太平洋側の中城湾(なかぐずくわん)にすでに構築されていた製造業向けの工業用地の一部をIT向けの産業集積地として活用する。中核施設は公共的な機能を持たせるが、民間施設用に準備した地域には、内地の企業のソフトウェア開発拠点、コールセンター(BPOセンター)、コンテンツ開発、テストセンターなどの拠点として内地の企業の誘致を進めることになる。

筆者は検討委員会の座長として県内外の関係者や有識者の意見の取りまとめに当たったが、その中で未来のIT産業集積地のイメージが明確になった気がする。もちろん、予算の制約があって今回のパークがそのイメージをすべて満たすものにするのは難しいが、思い描くイメージは次のようなものである。

(1) ITが地球環境に与える負荷を軽減するために自然エネルギー利用を大幅に取り入れる。エネルギーのすべてをまかなうのはもちろん無理だが、その一部に充当するために太陽光、風力、燃料電池、バイオマスなどの活用を推進する。

(2) 従業者のストレスを緩和するために、自然と触れ合う機会を準備し、また芸術活動などを勧めるための施設、メンタルヘルス、運動施設などを準備する。仕事と生活を両立させる「ワーク・ライフ・バランス」を実践するための構造を取り入れる。内地の企業が事業所を設置すれば、本社や内地の従業員がローテーションで沖縄駐在となって、業務で疲れた心身のメンテナンスを行う機会を提供する。沖縄は春先のあの「花粉症」が無いと言われるが、この時期だけでも、従業員が疎開する仕事場を作ることができる。

(3) 職住接近の家族とすごせる時間をたっぷり取れるような住環境を提供すべきである。もちろん、日本のIT産業はアジア諸国とのコスト競争を意識しなければならないが、心豊かな就業環境の提供によって高度な仕事をこなすクリエイティブな意欲が芽生えれば、仕事の質によって国際競争力を確立することができるかもしれない。

沖縄県では要望を聞きながら、誘致した企業の優遇策などを検討することにしているが、昨年、香港との光回線を敷設、今後2年間は、進出してきた企業に無料で開放するなど、進出企業には大幅なメリットをすでに提供し始めている。沖縄県は賃金水準が全国平均の70~80%という水準で、日本の法律や文化が通じ、細かい点で中国やインドよりもコミュニケーションが良いというメリットがある。しかし、もっと別のメリットが沖縄にはある、と実感させられた委員会での1年間だった。未来型のパークが現実に姿を見せるのを楽しみにしている。

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