半年ぶりに帰国する米国在住の知人から、何か、変わったことはないか、教えてくれと言われて、これはたくさんあるぞ、と楽しみになった。特に、知人の出身校、慶應大学の主要キャンパスが位置する横浜市日吉をめぐる鉄道網の変化である。従来も、東横線だけでなく、中目黒駅経由で地下鉄日比谷線に入り、東京都心、東京東部、埼玉南東部を結んできたが、この2ヶ月ほどで日吉駅をめぐる交通事情は激変してきた。
まず、3月末、東横線日吉駅から港北ニュータウンを経由してJR横浜線中山駅までを結ぶ横浜市営地下鉄のグリーンラインが開通した。また、6月22日、これまで東横線武蔵小杉駅始発、目黒駅経由で都心に向かっていた目黒線の始発駅が日吉駅に移った。また、6月14日に開通した東京メトロ副都心線も実は、日吉駅に関連している。
地下鉄副都心線は、東京の北側の繁華街である池袋から、JR山手線の内側を走る主要道路の明治通りの地下を通って、新宿三丁目、渋谷へと5駅の区間を結ぶ。池袋からは私鉄に入り込んで行くので、東京西部、埼玉地区と新宿駅東側の繁華街や渋谷が直結された。新宿西口副都心の開発で影がやや薄くなった東側商業地域には久しぶりに活が入った。試しに乗車してみると、後発のため、在来の地下鉄のさらに下を潜る。それぞれの駅は地下深くにある。どれほどの交通ニーズがあるかは今の段階では読めないが、4年後の予定の次の開発で大きな変化が引き起こされるのは確実である。
次の開発案件は、副都心線の東横線への乗り入れだ。東横線渋谷駅を地下に移して、副都心線渋谷駅と一緒になる。現在、JR山手線と並行している東横線渋谷駅がなくなるということである。しかも、東京西部、埼玉県南西部地域が東武線、西武線、副都心線を経由して東横線につながるのである。横浜みなとみらいと連絡するわけだが、同時に、交通の要所となった日吉駅がさらに東京西部と直結するわけである。
この複雑な交通網の整備は、もちろん、情報ネットワークで電車の運行や乗客の入出場を制御することによって可能になった。情報ネットワークを利用する、分かりやすく、象徴的な技術が、電子チケット「Suica」「PASMO」であるのはもちろんである。複雑な乗車賃の計算も「Suica」「PASMO」を電子改札機にかざすだけで一瞬のうちに実行してくれる。ネットワーク社会とは、情報ネットワークばかりではなく、鉄道ネットワークをはじめとした社会のさまざまなネットワークを高度にしてゆくことである。それを実現するのは情報ネットワーク技術である――と感心していたら、副都心線、初日から大混乱である。ネットワーク技術、今一歩、磨き上げる必要がありそうだ。