沖縄を除く北日本から関東、中部、関西、さらに西日本にいたるまで、この全国的な大雨は何だろうか。「記録的」だの、「猛烈な」だの、記録更新を意味する修飾語が次々と登場する。一時間降雨量が30ミリ、50ミリと言ったら、以前はびっくりしたものだが、このところの猛烈な気象では、100ミリを超え、140数ミリという記憶にないような数値までお目にかかるようになった。
テレビをみていると、解説はきちんとできているように見える。日本列島の東に高気圧が居座って、その縁にそって南から北へとたっぷりと湿気を含んだ温かい風が日本列島に吹き付けて、停滞している前線にぶつかる。北の冷たい空気とこの湿った温かい空気が混ざり合って、局所的に積乱雲を発生させ、竜巻まがいの突風を吹かせ、集中的に猛烈な雨を降らせる、というのである。精度が上がった気象衛星と高速コンピューターによる解析技術によって、過去のデータを参照しながら雲の流れを追いかけているので、直前の気象図を元にする各所の短期予想の精度は、かつてに比べて飛躍的に向上した。短期的な原因と結果の連鎖が分かってすぐ先の天気予報が提供されるのだから、ICTをベースにした実用的な気象予報システムが出来上がった、と一応は感心させられる。コンピューターによるセンシング技術の成果である。
だが、よく考えると、この解説は、もっと重要な原因には触れずに、実用的に役に立つ現象的な説明をしているに過ぎない。
なぜ、高気圧が例年になく、こんな場所に居座っているのか。例年とは異なる太平洋の海水表面温度の状況が反映されているのだと思うが、それでは、なぜ、例年とは異なる状況になっているのかは、まだ説明されていない。何でもかんでも地球温暖化のせいにするのは乱暴ではあるが、関係がない、という証明ができない段階では、最悪の前提として地球温暖化を疑ってみたい。地球温暖化への対策は、関係が証明されてからではすでに時期が遅いからである。
これからは短期的な予測に満足しているだけでは済まない。原因となるものを突き止め、その対応策へと地球規模で取り組まないと間に合わない。すでに間に合わないところまで来ているという悲観論もないではないが、悲観していても状況が良くなる機会は見つからないので、この異常気象を、大自然からの最後の警告と理解して、さらに地球環境の悪化に思いを致さなければならないだろう。そこに情報技術のメスを振るわなければならない。