まさかの躍進――予期せぬ若さの爆発に注目

まさかの躍進――予期せぬ若さの爆発に注目

現今の閉塞状況を打破する力が見えてきたような気がした。新春「箱根駅伝」での東洋大学・柏原選手の山登り逆転優勝(往路)に驚いた感想である。

ご存知の方が多いと思うが、箱根駅伝史を飾る快挙なので、もう一度振り返ると、一年生、東洋大学の柏原選手が山登りの前、4区の宇野選手からたすきを受け取ったのは9位、すでに8人の選手が箱根の山に向かって走り出していた。優勝候補で、下馬評通りにトップでたすきを受け取った早稲田大学から遅れることおよそ5分。これを逆転することはありえない話と、だれもが思っていた。むしろ、早稲田を2位で追う山梨学院大学とのトップ争いに目を奪われていた。

しかし、柏原選手は高速ペースを維持しながら次々と先を行くランナーを追い越し、ついにトップの早稲田にも追いつき、抜き去った。驚愕である。今井選手(当時 順天堂大学)が一昨年記録した驚異的な区間記録をさらに47秒も短縮した。日本の若者には、前人の記録を踏み越えて未踏のゾーンに乗り出して行くエネルギーがまだ息づいている。

その思いはゴルフの石川遼選手の快進撃にも通じるが、最近、年少のスーパールーキーが次々と登場してくる。フィギュアスケートの浅田真央選手も然り。彼女は年齢不足でトリノ五輪に出場できなかったが、出場していれば、荒川静香選手と金メダルを争ったかもしれない。

経済界では、若い天才の活躍分野としては、IT業界がその筆頭だった。激しい勢いで進展する技術革新をばねに、次々と従来の仕組みを凌駕する新しい製品やサービスが生み出されて来た。しかし、世界を揺るがす発明は、「米国発」「欧州発」が中心で、「日本発」はなかなか大物に成長しなかった。経済システムを根本から変革するベンチャーの出現を待ちわびていて、わずかに流通革新をもたらすベンチャーの成功を見るに止まってきた。この状況の打開は難しいとあきらめかけていたところだが、あちらこちらのビジネスコンテストの審査員を務めていると、そう捨てたものではない、という気がしてくる。

確かに、新しいビジネス変革のアイデアの芽はあちこちに育ちつつある。それが、どこでブレークするか、である。また、スポーツ界での多くの天才たちの育成方法は、小さいうちからの「英才教育」である。IT業界でも若いうちからコンピューターに触れ、携帯に触れて、才能を刺激させている若者が育っている。日本の若者たちの急成長振りを見ると、スポーツ界に止まらず、経済界にも新しい風が吹いてきそうな気がする。その突風の一つはぜひITであって欲しい。

新年に当たって、これほど気鋭の出現と爆発を待ちわびる気になったのは初めてである。

新年明けましておめでとうございます。今年は良い年でありますように。

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