ネット社会、「安心」作りを急ぐ組織に期待

ネット社会、「安心」作りを急ぐ組織に期待

2月27日、民間情報企業とPTA全国組織、学界などが糾合して“「安心ネットづくり」促進協議会”が発足した。筆者も、国際大学(グローコム)が特別会員となったので、その代表として創立総会に参加した。都内のホテルには孫正義ソフトバンク社長、山田隆持NTTドコモ社長、小野寺正KDDI社長など携帯電話関連の経営トップや南場智子DNA社長などここにきて厳しい規制強化を要求する社会の声に危機感を抱いた発起人陣が集まってきた。協議会に参加を申し込んだ会員企業、組織、個人は合計170を超えた。大変な盛り上がりである。


この協議会設立は、携帯電話3社のトップが発起人に連なっていることで分かる通り、国会議員の間で規制強化の動きが強まった小学生など少年少女の携帯電話利用問題がきっかけの一つになった。実際、携帯電話への一部の人々のアレルギーは深刻である。最も早く起きたのは、電車の中での大声での通話への反発だった。傍若無人に、車内で携帯電話相手に大声でしゃべり、大笑いするのは不愉快である。それは何とか「心臓のペースメーカーなどに障害が起こる恐れがある」という理屈をこじつけて自粛させることに成功した。

まるで自警団のような「携帯成敗派」のグループが、その次に怒りのターゲットにしたのが、小学生、中学生などの年少者が「生意気に」携帯を使いこなしている姿だった。携帯電話が子供たちに与える限りないメリットを犠牲にして、学校への携帯電話持ち込み禁止を法律で決めようというのだから、社会の進展を知らないまったく乱暴な話である。

世界的に見て、携帯電話が小学校で教育のツールになるのは大きな流れである。日本でも先進的な小学校では携帯電話は重要な学習ツールになっている。授業中に児童や生徒が勝手に携帯電話を使うのは言語道断だが、それは教師が指導すべき話なので、法律や教育委員会が口を出す話ではない。職業をもつ母親にとっては切実な問題である。子供の安全の確認や緊密な心の交流を通わせるために不可欠なツールが携帯電話である。それを、その必要性に無頓着なグループで奪い取って良いものか。

子供たちから携帯電話を取り上げなくても、まだ、方法はいくらでもある。“「安心ネットづくり」促進協議会”の活動もその一つだが、子供たちに携帯電話やインターネットを正しく利用するリテラシーを身につけさせるのが一つ。そのために全国レベルのキャンペーンを繰り広げる。もちろん、学校のカリキュラムでも、こうした教育、学習を進めるべきだが、文科省の姿勢は、より作業が簡単な「持ち込み禁止」に流れている。この文科省の考え方は変えさせなければなるまい。携帯電話を教室に入る際には、ロッカーに入れるという新ルールも有効だろう。コールセンターなど、民間では作業場に携帯持ち込みを禁止するところでは常識である。

もう一つは、子供たちの携帯電話やインターネットのブログやプロフ、SNSなどのコンテンツを監視することだ。学校分野に信頼のある企業や組織に、この監視サービスを検討してもらい、監視サービスの専門会社と協力して新しいサービスを展開してもらう。野放図に情報が飛び交っていることが問題なので、そこに秩序をもたらすための新しい枠組みが必要である。

安全で、かつ、未来の世界を切り開くために打つ手は、まだまだ、たくさんある。

これまでの掲載

中島情報文化研究所 > 執筆記録 > 内田洋行 奇論・暴論 > ネット社会、「安心」作りを急ぐ組織に期待