政権の交代の期待と不安

政権の交代の期待と不安

 民主党側が候補一本化に失敗したので、自民党推薦候補が有利になった、とされていた静岡県知事選だったが、ふたを開けてみれば、自民党の劣勢がはっきりと確認される結果に終わった。政界の一寸先は闇なので、この先、何が起こるかは分からないが、どうやら、政権交代は避けられない状況になってきた。都議会選挙は、中選挙区制なので、獲得議員数ではなく、獲得した得票率で衆議院選の参考にしなければならないだろう。現在の世論調査の数字に表れている野党側有利の得票率の分布になれば、政権交代確実で、そのための準備をしなければならないだろう。どんな準備が必要なのか、良く分からないが。

 政権の交代とはどういう事態を引き起こすものなのか。新聞記者時代に、日本新党が突然、登場してきて、自民党が政権の座から降りるという事態があった。もう一回、今度は自民党が社会党と連立して政権を奪回するという驚天動地の政権交代もあった。しかし、日本新党政権は短期で瓦解し、自民党-社会党連立も、結局、それでどうなったかという印象があまりないのは、筆者の感性の鈍さだったのだろうか。あるいは政権奪取側に、政策の準備期間がなくて、思いきった政策転換のエネルギーが不足していたのかもしれない。

 今回は、政権交代によって、政策を大きく転換する可能性が十分にある。

 成立に反対した大型補正予算も、すでに執行が始まったものを取り消すのは難しいとしても、問題ありと指摘されたものについては、衆議院の過半数を現在の野党側が政権を握れば凍結される可能性がある。郵政については、今度の選挙で政権を握った勢力で民営化の見直し作業をリードすることになる可能性が強い。今度の政権は民営化に反対し、小泉ハプニング選挙によって津波に襲われたように議席を奪われた苦い体験の雪辱戦を行う可能性がある。自民党の中にさえ、郵政民営化見直し論がにぎやかになっている。ましてや、N社長については更迭論があった。現在の野党がもし政権を握れば、メスを入れてくるのは間違いないだろう。

 ただ、基本的に、IT分野では大きな対立点は見当たらない。行政の電子化、教育の電子化、医療の電子化など、壁に突き当たって進展が滞っている領域では、かえってこう着を揺さぶる良い刺激になるかもしれない。日本はいつの間にか先進国中では電子化の進展度合いで順位を急速に下げてしまった。ブロードバンド最先進国でありながら、社会の電子化全般では最後尾に転落してしまったが、その反転攻勢には、心機一転、新しいリーダーシップがぜひとも欲しいところだ。はたして、政権が交代したとして、その期待に応えてくれるかどうか。少し気が早いが、あれこれ考え込んでしまう

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