予想通りというか、予想を超えて、というか、総選挙の結果は少し戸惑うようなものだった。事前のマスコミの世論調査も、やや行き過ぎたものではないか、と半信半疑というのが本音だった。しかし、意外にも、マスコミの世論調査の範囲で結果が出た。
ここまで差がついてしまうのが小選挙区制の威力か。前回の小泉郵政選挙も、世論の割合以上に、与党が議席を獲得して、国会運営が極端なものになってしまった。その運営を担う政権が頼りにならないほどに無能を露見し、暴走したので、天下は政権交代を選択したわけである。民主党を支持したのではなく、自民党を政権から引きずりおろす、というのが今回の政権交代の意味である。
マニフェストにたくさんの公約があった。しかし、これは政権を持たない時期に作った政策である。これほどの選挙権とは予想せずに作成した政策である。政権当事者となれば、また、違った緊急の課題も見えてくるはずである。マニフェストに書かれている政策で万事が好転するほど事態は甘くはない。本当の政策立案はこれからである。
ということで、とりあえず、注目されるのが、新政権のIT政策の行方である。これまでの政権のIT戦略は、きわめて王道を求めたビジョンだったが、これは政治主導ではなく、民間主導で、実現してきたのは民間がリーダーシップをもつ分野が中心だった。多額の予算が投じられたが、必ずしも、議論通りの案件に投入されたわけではなく、どう見ても無駄と思える「箱もの」に予算が投じられるか、補正予算で、投じられようとしてきた。新政権は、どうやら ビジョンには大筋では異論がないように思える。その実現の方法論には注文がつけられるかもしれない。
とりわけ、電子行政、教育、医療などの、分厚い壁が待ち構えて、ITによる業務革新がなかなか進展しない分野は、新政権が照準を合わせるだろう。また、これまで話題にならなかった分野に新たにメスが入るかもしれない。
というのは、民主党のIT分野を実質的に担いそうなのが、旧通産省のIT戦略を立案していた官僚出身の国会議員たちだからである。優秀な通産省官僚たちが、官僚組織の壁に失望して、次々に通産省を辞めて産業界や政界に転身したことがあった。利権行政に嫌気がさして、ビジョンに基づく国家構築を目指したビジョン家たちである。政界でも、自民党もあったが、民主党の方が目立った。その分厚い官僚出身の議員たちが、いま、表に現れようとしているのである。総勢36 人だそうだ。霞が関の頭脳が民主党に移ったということだろう。しばらく、その動きに期待してみよう。
裏切られないことを切に望む。