「グーグルが携帯電話端末機を発売」――米国大手経済紙の報道には、ようやく具体的な動きが見えてきた、と感慨深いものがあった。しかし、「グーグルの進化」は、携帯電話端末機という単純明快なものだけだろうか。エネルギーもまた、その進化の方向ではないか。
次の時代の米国を代表するIT企業はマイクロソフトやアップルを押さえて「グーグル」である、というのはすでに定説である。マイクロソフトはクラウドで圧倒した。アップルは「i-フォン」で音声だけでなくコンピューター機能やインターネットを多彩に利用する「多目的端末」の姿を具現化したが、このアップルの流れに「待った」をかけるのがグーグルの今回の携帯端末投入の狙い。ネットワーク携帯電話端末の基本ソフト「アンドロイド」を開発し、無料で開放した時から、今回の「グーグル端末機」も予想されたことである。
ただ、グーグルが視野に置いているのは、情報通信ビジネスだけではないようだ。
まだまだ、情報通信市場は隠れていた可能性が発現、細胞分裂し、それぞれのジャンルが拡大して多様な方向に発展してゆくだろう。まだ、発展途上の技術である『情報通信技術』は、まだまだ新しい商品やサービスを生み出すはずである。にもかかわらず、グーグルが、すでに次の有望産業、市場として睨んでいるサービスがある。
「スマート・グリッド」である。「グリッド」は電力網の意味も持って、情報通信技術をベースに電力網をコントロールして、効率的な発電と電力供給の仕組みを作り、運用することという意味もあるが、情報通信技術者の側から議論するときには、それよりももっと大きな革新的なエネルギーシステムへの期待が込められている。
電力の配給は、何も、ケーブルを経由するだけではない。風力発電、太陽光発電、小型の水力発電、地熱発電などでは、従来の電力輸送網とは必ずしもリンクしない配送網が利用されるようになるだろう。その代表例が「電気自動車」である。電気自動車は発電所や給電所で電力を蓄積し、移動して、他の電気製品や蓄電装置に給電することもできる。つまり、自動車が電力輸送の道具を兼ねることになるかもしれない。その効率的な管理をネットワークを通じて管理すれば、従来にはない、グリーン電力ネットワークが出現するかもしれない。
低炭素社会を目標とすることによってエネルギー分野が重要な産業になる。情報通信技術を応用する「スマート・グリッド」は、情報通信産業の格好のターゲットである。