SaaSは炭酸ガス負荷軽減の有力な道具である

SaaSは炭酸ガス負荷軽減の有力な道具である

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

正月のめでたい新聞記事に、ある大手企業が、取引先のCSR(企業の社会貢献活動)を支援する仕組みを作って、CSRの社会全体の広がりを促す運動を始める、というニュースがあった。そこで思い出したのが「取引先企業の環境活動を支援する」という筆者が参加している運動である。

SaaSの実験の一つとして行っている「環境家計簿・『えこ花』プロジェクト」である。低酸素社会づくりを目指すには、各家庭でどれくらいに炭酸ガス排出の負荷を与えているかも「見える化」しなくてはいけないのではないか。ということで、手始めに、毎日購入する製品はどのくらい炭酸ガス排出の負荷を与えているか、消費者が簡単に把握できる「環境家計簿」作成の仕組みをSaaSで提供することにした。昨年、沖縄県の一部で行っていたものを、今年から千葉市周辺のイオングループなどの協力で、範囲を拡大する。まだ、地域限定なのが悩みの種だが、いずれは全国に広げようと思っている。

仕組みは簡単である。インターネットで『えこ花』のサイトにアクセスすると「電子家計簿」のソフトウェアがあって、登録すれば「マイ家計簿」として無料で利用できる。元々は「電子家計簿」のソフトウェアなので、買い物した後、レシートを見て、月日、購入費目、金額などを入力してゆけば、後から様々な分析ができるデータが作成されるというわけだが、入力が面倒で、こうした作業をする人はなかなかいないので日本では電子家計簿は普及していない。しかし、『えこ花』では、実験参加店のレシートの伝票番号を打ち込むか、あるいはQRコードをケータイで読み込めば、参加店のデータベースに入っているレジ情報のデータを「マイ家計簿」に転送して自動記入してくれる仕組みを作った。これなら簡単な作業で電子家計簿にデータ記入ができる。

これだけならただの家計簿だが、『えこ花』は、この作業で購入した商品の炭酸ガス排出量を計算できるように狙ったところが特色だ。国立環境研究所で作成した食品ごとの製造過程でどの程度の炭酸ガス排出の負荷を与えるかという表がある。これを利用して、自動的に本日の買い物の項目とこの炭酸ガス排出量リンクして自動計算するのである。

しかし、まだ、製造工程での炭酸ガス排出量を計算した商品の種類に限りがあるし、精度も粗い。製造場所と販売店舗の移動にかかった流通過程での炭酸ガス負荷もそろっていない。しかし、ここからが重要なのだが、本来なら、製品を作っているメーカー自身で、製品ごとにどの程度の炭酸ガス排出の負荷をかけているかを計算して公表すべきではないか。企業によっては太陽光発電や風力発電を使ったり、省エネの努力をしたりして、炭酸ガス排出を抑えている。産業全体で商品毎に計算すると、実態とはかい離するし、省エネ、グリーン化の努力をしているのが、反映できない。

小売り業界は、製造業界に働きかけて、商品毎に製造の際の炭酸ガス負荷を計算し、公表するように働きかけるべきではないだろうか。「環境活動を支援する」仕組みを作って取引先製造業が製造工程の炭酸ガス負荷量を計算しやすくするのである。商品のラベルに「製造工程にかかる炭酸ガス排出の負荷」という数値を印刷させる。消費者は、その数値を見て、商品を選ぶ、こういう行動に変わってゆく。『えこ花』の実験と普及は、こうした産業界から社会全体への運動へと発展させたいと思っている。SaaSという新しいITの道具を使って、炭酸ガス負荷を減らしてゆく運動の一例である。新年は、こうした新しいアイデアを発展させて、加速化する地球温暖化への動きに少しでもブレーキをかける年にしたい。

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