IFRS、本当に日本も適用になるのか

IFRS、本当に日本も適用になるのか

 IFRSへの関心が急速に高まっている。経営に重大な影響があるので、企業の情報システムにも波及するはずである。SI企業は一斉にIFRSに対応したサービスを準備し始めた。しかし、IFRSとは一体、何なのだろうか。どうも分かりにくいし、なぜ、こんな制度に変更しなければならないのか。不可解な思いもあるが・・・。

 IFRSは「イファース」あるいは「アイファース」などと発音する。新聞などでは「国際会計基準」と訳しているが、「FR」は「ファイナンシャル・レポート」なので、「会計」ではなく「財務報告」と訳すべきだろう。「国際財務報告基準」である。投資家に目安となるように、企業の財務状況を重視して公表させる、というものだが、経営者が事業の実態を知る「会計」とは性質を異にするようである。

 変更点は多数あるが、たとえば一つ挙げると、これまでの会計では、「利益」という概念は原理的には事業活動などによる売上収益から事業活動に伴う経費を差し引いたものだが、一転して、IFRSでは純資産を基準にして「期末純資産」から「期首純資産」を差し引いたものになるのだという。つまり、当該期中の純資産の増減を指す。確かに、企業価値の尺度の一つに純資産の多寡がある。投資家にとっては最も関心ある項目である。純資産の増減の数値を企業に求めるのも分からないではない。しかし、不動産や長期保有の有価証券などのように相場で動く資産で、純資産が大きく増減してしまうと、期中の事業活動での利益の額など吹き飛んでしまうことになりかねない。

 事業活動を見る経営の指標はやはり、従来の会計上の利益の多寡だろうから、投資家への公表とは別に、やはり損益計算書による管理が経営の要点であることは変わらないだろう。投資家への開示と取引先や従業員への業績の開示は別物と割り切るのが良いのか。

 とはいえ、投資家に開示する数字の見栄えも良くしなければならない。そうなると、相場で動く不安定な資産はできるだけ減らしてゆかなければならないだろう。資産を減らす「持たざる経営」へと一段と傾斜することになるのではないか。アウトソーシングが重要なキーワードになる。

 すでに、2005 年にEUで強制適用が始まっており、2011年にはカナダ、インド、韓国(金融除き09年から)などで適用 される予定だ。米国では、09年から任意適用、14~16年に強制適用が検討されている。日本でも、10年から任意で適用され、15~16年には強制適用されると予想されている。いつから適用かについては、12年に結論を出すことになっている。「適用しない」という選択肢はなさそうだ。

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