自治体システム、組み込み系OS~~アンドロイドの広範な利用

自治体システム、組み込み系OS~~アンドロイドの広範な利用

 アンドロイドについて意外な声が聞こえてきた。いわく「POS(販売時点情報管理)端末のOSとして有効そうだ」「安価な自治体システムを構成するOSにはならないか」「スマートグリッドの家庭内コントロール用に使えるのではないか」など、要するに組み込み系や新しい市場への適用の期待である。携帯情報端末のOSだとばかり思っていたアンドロイドの別の一面を見せつけられた。次代のシステム構築に何が利用できるのか。視野を広げて研究することが必須である。

 6月初旬、台湾・台北市で開催されたCOMPUTEXに向かう日本のソフトウェア技術者の一行に出会った時の議論である。「電子ブック」の側面から、折しも話題騒然の多機能端末に関心があるのかと思ったら、多くのメンバーの注目点はグーグルが広く利用を開放しているOS「アンドロイド」だった。

 筆者の皮相な理解では、アンドロイドは携帯情報端末のOSのはずだったが、すでに「ネットワークにつながる端末の高機能のOS」としての可能性が魅力になっているようだ。この位置づけは日本発のOSとして注目された「TRON」に似ているように感じた。情報を公開して、無料で利用できるオープンソフトである点。さらに、パソコン機能、マルチメディア機能を想定したプラットフォームとしてリリースされたが、TRONの場合も、組み込み系ソフトウェアとして、自動車のエンジン制御や各種の装置の制御OSに幅広く利用された。どこか共通の性格があるように感じられた。

 携帯情報端末としても、台湾の情報産業幹部の間ではアンドロイドの評価が高かった。アップルの株価時価総額がマイクロソフトを抜いたということで、今や時代はアップルである。iPhoneやiPadが急速に市場を獲得しているが、長い経験を持つソフトウェア専門家の判定はアンドロイドに軍配を上げていた。

 しかし、問題は、専門家の目に優秀だと映ったものが、必ずしも一般ユーザーの支持を受けるわけではない、という点である。利用できるコンテンツの豊富さや操作性、デザインなど、一般ユーザーが採用する評価項目は専門家のそれとは大きく異なる。

 逆に、一般ユーザーが思い及ばないところで技術が大きく進展するケースもある。パソコンのような目に付く製品には普及しなかったが、自動車エンジンの制御など、見えないところで社会の進展を促進したTRONなどはその好例だろう。アンドロイドが携帯情報端末で成功する可能性は否定しないが、業界人としては、組み込み系OSや今後の進展が急がれる自治体システムを少ない開発投資で構築する道具として、社会システムの裏側から情報社会の進展を促す役割にも期待したい。

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