日本の三権分立はきちんと機能しているのだと感心した。生保(年金型)の受取人が、相続時に、将来の受取年金総額を相続遺産として算定されて相続税を払ったのに、年金を受け取る際に再び所得税を徴収されていた。これは二重課税ではないか、と返還請求したのが裁判で認められた。こう書くと当然のような気がするが、その二重課税が長年、まかり通ってきた。税務署の意向に沿わないと、後で、高利の利息付きで追加徴収をされるので、割り切れない思いで支払っていた人も多かったに違いない。
裁判で決着がついたので、今回の訴訟人だけでなく、税金の取り過ぎとして、納税者に返還する決断をしたのは良いが、その返還の手続きでまだ、ぐずぐず言っている。通常は返還請求の時効は5年だが、今回は徴税側の根本的な誤りなので、時効に関係なく、二重に納税した超過分をすべて返還することにした。ところが、その記録が税務署側に十分に残っていないというのである。生命保険会社の記録に頼らざるを得ないから、困難だというのである。ならば、生命保険会社にお願いすれば良いではないか。
ニュース報道によれば、生命保険会社の記録も過去の時点のもので、その後、転居などしていれば追いかけられない、と、また、困難を言い立てているようだ。本来ならば、住基ネットが整っていて、過剰支払いの納税者を追いかけられるのだが、住基ネットは税務に使わないことになっていて、システム連携ができない、というので、最初から、住基ネットを使うアイデアはないようだ。
しかし、これは納税者の利益になるものなので、特定目的の一時的アクセスを認めるように変更すれば良い。法律が必要ならばただちに法制化の準備をすればよい。そもそも、情報はあちらこちらのデータベースに保管されているのに、それらを連携して利用するのが禁止されている事自体が不合理なのである。「個人情報過保護主義者」たちがごくごく一部の人に都合の悪いことがあるかもしれない、という危険を誇大に騒ぎ立てているので、せっかくの豊富な情報がずたずたに連携の手段を断ち切られてばらばらに孤立したままだ。後になってルールが変更になって追跡が必要になった時こそ情報システムの出番である。それなのに、今回の二重課税問題でも解決を遅らせている。
世界的に大きく立ち遅れた行政の電子化は、非効率な行政システムの現状を諸外国にさらす醜態を演じている。ようやく、さまざまな行政情報を連携させるために「国民ID」がまともに検討されるようになってきたが、早く実現してほしい。さもないと、今回のような事態がどこかで起きると、再び国民は不利益を押しつけられることになるのではないか。