地域情報の中核目指せ~ネットの偏見を打ち破った小学校のHPコンテスト~

地域情報の中核目指せ~ネットの偏見を打ち破った小学校のHPコンテスト~

 筆者は小学校の優秀なホームページを表彰する「J-KIDS大賞」の審査員をしていて、毎年、各県で選抜されてきたホームページを見てきた。豊富な写真によって、児童たちがどのような環境の中で教育を受けているのかがよくイメージできるホームページが実にたくさんある。小学校のホームページを通して地域についての知識も得られる。毎日、新しい情報、新しい写真を掲載し、更新を続けている学校も少なくない。適切な情報提供、魅力的なデザイン、ブログ、ツイッター、動画映像など素早く取り込む最新の機能 ――さらに保護者との情報共有から地域との連携、卒業生とのコミュニティ形成と絶え間なく進化が続いている。次は自治体とどういう連携になるのか。それとともに、インターネットへの偏見やアレルギーを持った人たち、携帯電話への偏見をもった人たちの抵抗を突き崩してきたこともうれしい実感である。

 今年で8年目。当初、ホームページを持たない小学校も半数近くあったが、今年の審査対象校は19333校とすでにホームページを持たない小学校は珍しくなった。

 当初、インターネットは有害だ、という警戒感も強かった。インターネットに接続禁止、したがってホームページは持てないという今から思うと信じられない方針を打ち出していた地域もある。しかし、今では、学校と児童、学校と父兄、学校と地域と情報共有のためにホームページは必要不可欠な道具だという正当な認識が広がった。

 どのページも写真が豊富だ。携帯で撮影したものを即座にアップするのだろうか、遠足や校外指導などの様子をその日のうちに見られる。その写真についても、当初と大きく違ってきたのは、愛らしい児童の顔が正面から生き生きと掲載されていることだ。当初は個人情報についての誤解や児童の安全への過度な配慮から、背中からや遠方からで顔がはっきり見えなかった。今では多くの学校で正面からのものを掲載している。もちろん、掲載に際しては保護者の承認を得る慣行も定着し、遠隔地にいる親族や友人、知人が見て喜ぶので、自分の子供の顔は正面から掲載してほしいという保護者の要求もある。犯罪などに利用されないような配慮は当然だが、それは顔を写さない、という消極的な工夫であってはならないだろう。

 携帯電話で利用できるように機能を持たせているところもある。海外でも児童が携帯で情報収集する能力を養う教育は常識になっている。「携帯王国」だったはずの日本でも当然、携帯を使った効果的で有益な情報の収集の仕方を教えるべきだが、何を勘違いしたか、学校には携帯を持ってくることを禁止するという、自治体もあるらしい。日本の情報リテラシーが国際的に大きく遅れてしまったのも、「臭いものにフタ」的な消極的な指導方針の弊害が出ているのかもしれない。しかし、開明的な小学校では情報発信のチャネルとして携帯を準備しているのは心強い。

 国際競争力が衰え、活力を失った日本社会にとって、希望の星は未来を背負う若者たち、その卵である児童たちである。充実した小学校のホームページを見ていると、未来に対する希望が湧いてくる。毎年、レベルアップは著しく、選考は一苦労だが、その進歩の軌跡を実感するだけでも元気をもらえる。

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